セプテンバー・テープ
<ストーリー>
ドキュメンタリー監督ドン・ラーソン(ジョージ・カリル)とそのスタッフが同時多発テロの後、オサマ・ビン・ラディンを追ってアフガニスタンに強行入国する。しかし彼等はアフガン国境で忽然として姿を消し、8本のテープだけが残されていた。そのテープには知られざる世界が映し出されていた。
何故フェイク・ドキュメントにしてしまったのか?

911テロから1年後のアフガニスタンを伝えようとする映画監督が現地に飛び、様々な場所で、様々な人物と接触し、様々な困難を乗り越えながら撮影を続けますが、突如失踪してしまいます。まるで遺品の様に残された監督の撮影テープを通して現実のアフガンの姿を伝えて行くフェイク・ドキュメンタリー作品です。

そんな設定を聞いて一番に思い出すのが低予算ホラー『ブレアウィッチ・プロジェクト』です。本作も、どこまでが現実で、どこまでが嘘なのか?その辺は実に曖昧です。そこには「日常で目にする情報を安易に信じるな」と言う監督のメッセージが含まれているみたいです。確かにそうですね。私達はテレビのスイッチを入れるだけで、ニュース等を通して今の世界の状況や情報を簡単に入手出来ます。現にそれを全て事実として(全てが嘘では無いでしょうが)受け入れていますが、それは実際に自分で得て見た現実ではありません。かと言って全てを疑って見る事も出来ませんし、、、

映画の方に話を進めますと、映像はかなりよく出来ています。フェイク・ドキュメントと知らされなければ、暫くの間は[本物]と思って見てしまうかも知れませんね。緊張感や恐怖感は恐ろしい程伝わって来ます。ハリウッド映画的なアクションフルな映像(カメラに向って飛んで来る弾丸やミサイル)は御愛嬌ですが、計算尽くされたハンディカムによる手振れ画像は、ただならぬリアル感を生み出しています。一体、あの映像は何処でどうやって撮影されたのでしょうか?周りの人達はエキストラ?それともゲリラ撮影?

監督の伝えたい事、世界に伝えたいメッセージ等は十分に伝わりました。今のアフガンの現状は私達の想像する以上に悲惨かつ過酷だと思います。本作で登場する映像は、その現実に限り無く近いものなのかも知れません。しかし個人的に思うのですが、なぜ監督はその思いを[フェイク・ドキュメント]にしたのでしょうか?少しだけ理解出来ないです。『ユナイテッド93』の様な[ドキュメント・タッチ]の作品は良いのですよ。その手法の目的はあくまでも[臨場感]であって、見る側も[映画]として捉えながら衝撃や感動を得るのですから。しかし本作は「アフガンで突然失踪したドキュメント監督のビデオテープによって構成され、、、さらに未だ8時間分はアメリカ政府に没収されたまま」、と言った余計な設定を付けてしまっているものですから、何かこう、素直に受け入れられないのです。どう言う姿勢で見れば良いのか?どの部分を捉えて良いのか?監督の伝えたい思いや内容より、意識や興味が別の所に飛んでしまいます。話題性を狙った少し商業的な臭いもしない訳でもないです。

なので、こう言う内容の作品は、やはり[ストーリー映画]にして製作した方が良かったと思います。『ホテルルワンダ』がもしフェイク・ドキュメント映画だったらどうだったでしょう?リアルな映像は[ストーリー映画]の中でも十分使えますし、その中で使った方がより効果を発揮する場合もあります。本作は単なる監督の自己満足、、、で終って無いと思います(と信じたいです)が、せっかくの題材が少し勿体無い気がしました(ラストの妻に捧げる告白と妻の最後のメッセージは衝撃的です)。願うのは何よりも[世界平和]です。
評価:★★★
原題:SEPTEMBER TAPES
監督:クリスチャン・ジョンストン
出演:ジョージ・カリル、ワリ・ラザキ、他

2004年度アメリカ作品/収録時間:1時間35分

レビューの評価ポイントは (BAD) 〜 ★★★★★(GOOD) の10段階評価です
・・・1点 ・・・0.5点 ★★★★★・・・特星/個人的最高傑作

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