MOVIE REVIEW 2006 VOL.6 ■
レビューの評価ポイントは (BAD) 〜 ★★★★★(GOOD) の10段階評価です
・・・1点 ・・・0.5点 ★★★★★・・・特星/個人的最高傑作

トゥモロー・ワールド
CHILDREN OF MEN(米・英2006)
★★★★
監督:アルフォンソ・キュアロン 出演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、他:1時間49分
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キュアロン監督こだわりのリアルな未来と映像

実に18年間も子供が誕生していない西暦2027年の地球。イギリス以外の国々では国家は崩壊し、秩序を失い、内戦やテロが続発していた。かつて平和活動家だったエネルギー省に勤める官僚のセオ(クライヴ・オーウェン)は元妻で現在は反政府組織[FISH]のリーダーとなったジュリアン(ジュリアン・ムーア)からある依頼を受ける。それは一人の少女キー(クレア=ホープ・アシティ)を[ヒューマン・プロジェクト]という組織に引き渡す手助けをする事。セオにとってそれは国家に反する行為ではあったが人類の未来と希望を抱いてジュリアンに協力する事を決意する。

イギリスのミステリー界の女王とされるP・D・ジェイムズの原作『人類の子供たち』を基に『天国の口、終りの楽園。』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で知られるアルフォンソ・キュアロン監督が映像化。オープニングは世界最年少の少年が殺害されたと言うニュース報道から始まる。18年間も子供の生まれないこの世界では彼はまるで映画スターか人気歌手の様な存在として扱われて彼にはファンも存在する。そのファンによって殺害されたのだ。彼の訃報に泣き崩れる市民達の姿。何と言う未来世界なんでしょう。発端は別として大規模なテロや世界戦争、異常気象などでは無く[子供が生まれない]だけで人類が滅びる、世界が終末を迎える未来世界なんて、、、考えもしない世界観だったので驚きました。そしてそれがこの先、有り得ない事では無く思えてしまうので本当に恐怖感を覚えました。本作のジャンルは一応[近未来映画]に属するのかと思うのですが『リベリオン』や『アイ、ロボット』の様なSF映画ファンが期待する様な明るい未来世界は描かれていません。確認出来る未来アイテムもハンド・キーボードのミニ・パソコンと巨大映像ボードくらいでしょう。しかも世界的に情勢が悪化していますし諸外国からイギリスに逃れて来た人間は[不法入国者]扱いされるなど、どこを見渡しても危機迫った環境です。人類に子供が生まれなくなった理由は議論されているものの答えは出ていません。[ヒューマン・プロジェクト]と言う組織についても謎のままです。

物語は人類最後の希望となる少女キーを様々な危機を乗り越えて[ヒューマン・プロジェクト]に引き渡す、と言うシンプルなものです。衝撃的な展開やオチなどは一切ありません。クライヴ・オーウェンやジュリアン・ムーア、マイケル・ケインらの個性派俳優陣の存在感や演技も素晴らしいのですが、やはりこの映画はキュアロン監督がこだわりの[映像]にあると思うのです。まるで主人公らと同行しているかの様な、まるで戦場にいるかの様な、そんなドキュメントフィルムに近い撮影方法(手持ちカメラ)で全編にリアルな緊迫感を漂わせています。突如訪れるオープニングのテロシーン、森で暴徒らに襲撃される車内ショット、そしてクライマックスの(長回し撮影による)おそよ6分間に及ぶ戦場からの脱出シーン(最後あたりに少し感動させられる展開があります)。これには圧倒させられました。簡単な言葉で片付けてしまって申し訳無いのですが[凄い]の一言です。こんな恐ろしくもリアルな近未来作品はあまり観た覚えがありません。キュアロン監督のファンと言う事ではなりませんが、どうも私は彼の作品とは肌が合うみたいです。とても気に入りました。予想外の★4つです。

大作系SFサスペンス映画を期待して肩透かしを喰らう(喰らった)人もいるかも知れません。でも私は本作を評価したいです。今の自分に何が出来るかは分かりませんが地球規模で人類についてもっと考えたい、もっと未来の事を想って生きていきたい。本作はそんな気持ちにさせてくれる[人類への最後のメッセージ(又は警告)]なのかも知れません。また本作を観て少しでも何かしらを感じて、この先の事を考える人が増えてくれるのならば人類の未来はそう暗いものには成らないハズです。そう願いたいです。ボキャボラリーが乏しくて良い言葉で本作の良さをお伝え出来ないのが悔しいです。興味のある人は是非大画面で鑑賞して下さい。最後に、、、『トゥモロー・ワールド』と言う邦題ですが、コレもう少し別なもの無かったのでしょうか?(ロゴデザインも含めて)なんかイマイチ本編とマッチしていない様ですが?

ソウ3
SAW 3(米2006)
★★
監督:ダーレン・リン・バウズマン 出演:トビン・ベル、アンガス・マクファーデン、ダイナ・メイヤー、他:1時間47分
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せっかくの世界観が台なしに、、、

小学校で起きた人体爆破殺人事件を担当していた女刑事ケリー(ダイナ・メイヤー)は連続殺人犯ジグソウ(トビン・ベル)に拉致されて食肉工場の地下室に監禁されてしまう。その一方で死期がそこまで近付いていたジグソウは弟子のアマンダ(ショウニー・スミス)と手を組んで一人の女医リン・デンロン(バハール・スーメキ)と最愛の息子を失った男ジェフ(アンガス・マクファーデン)を使って新たなる[死のゲーム]を始めていた、、、

残酷描写と衝撃的なラストで世界中を熱狂させた[ソリッド・シチュエーション・スリラー]の第三弾。本作には生理的にも耐えられないグロくてキツイ映像満載です。第一作『ソウ』は意外にも直接的ゴア描写は殆ど無くスリリングなストーリー展開と意表を付く驚愕のラストが圧巻で傑作となりました。低予算を脚本とアイデアでカバーしたスリラー映画のお手本的作品です。これ以降[シチュエーション・スリラー]作品(亜流作も含めて)が増えたのも確かです。パンフレットにも書かれていましたが本シリーズの魅力は別のホラー・スリラー映画(『13金』や『エルム街』シリーズ等)の様に[外]に展開されるのでは無く回を重ねる毎に[内面]を深く掘り下げて行くところです。が、今回の『3』は如何なものでしょう?残酷描写だけに頼っていた気がしてなりません。前作『ソウ2』は第一作に衝撃を受け映画自体を[傑作]と認めたからこその鑑賞です。『3』(『2』も同じですが)となりますと犯人は陶然バレていますし、第一作を越えるオチはまず考えられません。でも何かしら新しい事をやってくれてるのではないか?と思わずそんな期待をさせられるのも『ソウ』シリーズです。

鑑賞してみました。結果は[否]です。確かに本作は『ソウ』シリーズです。3部作完結編として成り立ってます(一部残されますが)。ジグソウと弟子となったアマンダとの関係や第一作の舞台となった老朽化したバスルーム・ゲームのメイキングらしき回想シーンもあってシリーズファンを満足させる要素は多々あります。ただ被害者に与えられる[試練(今回はゲームでは無く試練です)]での残酷シーンが惨過ぎて正視不可能なんです。途中で劇場を出たくなったのもこれが始めてです。本作の軸は[ゲーム=試練]云々より親子関係に近いジグソウとアマンダとの師弟物語なんでしょう。ただ熱狂的なファンの期待に応えてか後押しか若しくは制作側の悪ノリかは分かりませんが残酷描写がエスカレートし過ぎています。そこまで直接的に映す必要もないハズなのに。今回も少しだけサプライズがあったり今までの全ての[ゲーム=試練]に秘められていた[真相]も暴かれたりしますが、まるでそれが後付けされたかの様に見えるのです。せっかくの世界観が行き過ぎた残酷描写によって台なしにされて非常に残念です。噂では既に『4』の製作が始まったと聞きましたが不安で一杯です。一応、ファンとしては観たいとは思うのですが残酷描写だけがエスカレートした続編だけにはして欲しくないですね。

スネーク・フライト
SNAKES ON A PLANE(米2006)
★★★☆
監督:デイヴィッド・R・エリス 出演:サミュエル・L・ジャクソン、ネイサン・フィリップス、他:1時間47分
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合い言葉は「ヘビがジャンボをジャックする!」

FBI捜査官フリン(サミュエル・L・ジャクソン)は、ある殺人現場を目撃した青年を裁判所で証言させる為、一般旅客機でハワイからロサンゼルスに向う。しかし、その旅客機には犯人らによって[罠]が仕掛けられていた。設定高度に達した時、荷物室のカーゴが開き、中から無数の[毒ヘビ]が飛び出して来たのだ。毒ヘビ地獄と化した機内はパニック状態!さらに機長もが噛まれて旅客機は最大の危機を迎える!

サミュエル・L・ジャクソンが企画に惚れ込み、二つ返事で出演を決めたと言う内容が原題通り(邦題の『スネーク・フライト』も直訳したらよく分からないですね)の直球B級パニック・ムービー!スリルとブラックユーモアが見事に融合した突っ込み所満載のB級傑作です。当初『サウスパイフィック121』と言うタイトルになる予定でしたがサミュエルの一声で『SNAKES〜 』に戻したのは有名な話。フライト・パニック要素に毒ヘビウジャウジャを絡ませるなんて本当にクール!こう言うの大好きです!日本ではこんな映画作ってくれないでしょうね?いかにもアメリカって感じがしました。若干、途中でテンポがダレてしまうけど観応えは十分。ヘビ嫌いな人には辛い1時間47分でしょうね。(ヘビ嫌いな人は観ないか!?)ウジャウジャ描写(本物&CG)だけでも気持ち悪いのに、噛まれ様やポイズン・ショック症状をこれでもかと見せつける悪趣味さ。監督は『デッドコースター』の人なので一応納得です(笑)。目や股間、乳首など「わざわざそんな所を〜」と思わせる場所に噛みついて見せたり、不必要と思われる怪我シーン(逃げまどう女性のハイヒールが○○にグサっ!)や思わず目を背けそうになる治療シーンもあってグロ・サービス満点。

それだけがウリなら単なる[B級映画]止まりでしたが本作にはサミュエルがいる!サミュエルの存在が本作を[傑作B級映画]にしてくれたのです。冒頭の登場シーンからやたらと[渋カッコイイ]サミュエル!座る、歩く、しゃべるだけでカッコイイのだ!そんなサミュエルが最大の危機を迎えたクライマックスで[FUCK'in]連発でブチ切れてからが面白い!アリえない方法で機内の毒ヘビ共を排除し、アリえない方法で旅客機を着陸させようとします!もうこれにはお手上げ状態。アメリカと言うより、ソニー万歳ですね(笑)。贅沢を言えば最後の最後は『タービュランス』や『コン・エアー』くらい派手にやって欲しかったのですが、これはこれでイイかな?サミュエルさえカッコ良ければそれでOK♪『フライトプラン』の何倍も面白いです。万人ウケしないかも知れませんがB級パニックものが好きな人にお薦めします。

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